よさこいを見たことがある、という人は多いと思います。
お祭りでたまたま目にしたことがあったり、テレビや動画で、迫力のある演舞を見たことがあったり。
ただ一方で、
「よさこいって、どんな踊りなの?」
と聞かれると、少し言葉に詰まってしまう人も多いかもしれません。
ダンスなのか、祭りなのか。伝統芸能なのか、現代的なパフォーマンスなのか。
実はよさこいは、そのどれか一つにきれいに当てはまる踊りではありません。
決まった型があるようで、実はかなり自由。
地域や祭りによって、まったく雰囲気が違う。
だからこそ、外から見ただけでは少し分かりにくい踊りでもあります。
この記事では「よさこいって結局どんな踊りなのか?」を、初めて触れる人にも分かるように、できるだけ噛み砕いて整理していこうと思います。
よさこいはどこから生まれた踊りなのか
よさこいは戦後の日本で生まれ、今も進化を続けている踊りです。
その発祥は高知県。1954年に始まった「高知よさこい祭り」が、そのルーツとされています。
戦後の高知で、街を元気にしたい。
人が集まり、前を向けるきっかけをつくりたい。
そんな思いから生まれたのが、誰でも参加できる新しい祭りの踊りでした。
もともとあった民謡「よさこい節」を土台にしながら、特定の家元や流派に縛られない形で始まったことも、よさこいの大きな特徴です。
この「開かれた始まり方」が、後に全国へと広がり、各地で独自の文化として育っていく土壌になっていきました。
よさこいのルールや共通の要素
そんなよさこいは「自由な踊り」と言われることが多いですが、実はまったくの何でもあり、というわけではありません。
多くのよさこい祭りで長く大切にされてきた、ルールや共通の要素があります。
例えば、
- 鳴子を持って踊ること
- 前に進む踊りであること
- 楽曲の中によさこい節の一部を取り入れること
こうした要素は、よさこいがよさこいであるための、いわば「背骨」のようなものです。
ただしその背骨を大切にしながら、振り付け・音楽・衣装・演出など、チームや地域ごとに自由に広げられてきました。
鳴子や前進といった共通の要素を大切にしながら、それぞれのチームが、自分たちなりの表現を重ねていく。
この積み重ねが、よさこいを「型にはまらない踊り」にしてきたのだと思います。
「ステージ演舞」と「流し演舞(パレード)」
また、よさこいを理解するうえで、もう一つ知っておくと分かりやすいのが、「ステージ演舞」と「流し演舞」の違いです。
ステージ演舞は、決められた場所で、観客に向かって踊る形式。
一方、流し演舞は、踊りながら前に進み、沿道のお客さんと近い距離で空気を共有します。
この「進みながら踊る」という感覚はよさこいならではの特徴であり、見ている側もその場に巻き込まれていくような感覚があります。
地域や祭りごとに異なるよさこいの文化
ここまでの話を踏まえると、よさこいが一言で説明しづらい理由も少し見えてくるかもしれません。
よさこいは全国に広がる中で、地域や祭りごとに大きく姿を変えてきました。
例えば北海道では、「YOSAKOIソーラン祭り」。
よさこいのスタイルにソーラン節を掛け合わせた、力強い演舞が特徴です。
一方、都市部の祭りでは、街並みや会場に合わせた演出や構成が生まれています。
同じ「よさこい」という名前でも、音楽も、衣装も、踊りの雰囲気も違う。この多様さこそが、よさこいが各地で根付き、長く続いてきた理由なのだと思います。
踊りだけじゃない。人と人が集まる文化
ここまで、踊りそのものの話をしてきましたが、よさこいの魅力は、振り付けや演出だけではありません。
よさこいは、人と人が集まり、同じ時間を過ごす文化でもあります。
踊り子と観客の距離が近く、声が届き、表情が見える。
沿道でかけられる声に背中を押されたり、踊りながら、ふと目が合った誰かと笑い合ったり。
そういう瞬間があるから、よさこいは「踊って終わり」にならない。
その場にいる人たち全員で、一つの時間を共有している感覚。
それが、よさこいの大きな魅力だと思っています。
ダンス経験がなくても、関われる理由
よさこいに興味を持った人から、「ダンス経験がないんですけど大丈夫ですか?」と聞かれることは、本当によくあります。
正直に言うと、よさこいを始めた人の多くは、最初から踊りが得意だったわけではありません。
それでも続いている人がたくさんいるのは、よさこいが「上手い人だけの世界」ではないからだと思います。
誰かと同じ振りを踊ろうとした時間。
思うように体が動かなくて悔しかった時間。
それでも、隣で一緒に踊ってくれる人がいた時間。
そうした積み重ねが、踊りの上達以上に「また来たい」と思わせてくれる。
よさこいは、技術よりもまず、一緒にその場にいることが大切にされてきた踊りだと思います。
よさこいを始める前に不安を感じる理由や、実際に続いている人たちの話については、こちらの記事でも詳しく書いています。
よさこいは、競技ではなく「時間」
また、よさこいには「賞」や「順位」がある祭りもあります。
けれど、多くの踊り子にとって印象に残るのは、結果だけではなく、そこに至るまでの時間だったりします。
何度も練習したこと。
うまくいかなくて落ち込んだこと。
本番前に感じた緊張や高揚。
そうした時間を仲間と一緒に重ねてきた、という感覚。
だからこそ、よさこいの話をするとき「何位だったか」だけでなく、「どんな時間だったか」も語られることが多いではないでしょうか。
僕自身もよさこいそのものというより、よさこいの中に生まれるそんな時間が大好きで今も踊りを続けています。
最後に
ということで色々とお伝えしてきましたが、よさこいはとても多様な広がりを見せる文化なので、無理に最初から理解しきる必要はありません。
知って、
見て、
感じて、
少し気になる。
まずはそのくらいの距離感からで十分だと思いますし、ぜひ足を運んで色々なお祭りを見てみてください。
地域や祭りごとに表情が違い、関わり方も人それぞれだからこそ、よさこいは今も形を変えながら続いています。
何より、もしどこかで演舞を見る機会があったら、踊りだけでなくその場の空気や、人の表情にもぜひ目を向けてみてください。
きっとそこに、よさこいが長く続いてきた理由が少しだけ見えてくるかもしれません。
実際によさこいを見てみたい、少し気になる、という方へ。
よさこいの見学や体験がどんな雰囲気なのかは、こちらの記事でまとめています。

